私は,7回の試験挑戦の結果,ようやく警察官採用試験に合格しました。
合格発表は12月ぐらいだったと思うのですが翌年の4月頭に期待と不安で胸いっぱいの中,警察学校に入校しました。
それまでに色々な情報を聞いていたのでとりあえず髪型は,恥ずかしいと思いながらもお洒落がしたい21歳ではありましたがスポーツ刈りにしときました。
入校当日,母親に玄関まで見送られ指定された着替えを入れた大きなボストンバッグを持ち電車で約1時間30分揺られながら向かいました。
到着しました。ここからが地獄の10ヶ月間の始まりです。(大学卒は半年)
警察学校入校式は入校後1週間ですか今回は内容の濃い初日のみを記載していきます。
警察官を目指した時の話はコチラ↓
警察学校の門をくぐる

私の入校時は,大量退職大量採用時期でしたので約450名くらいが入校しました。門をくぐるとそれぞれの担任教官が11クラスぐらいだったと思うのですが長机の前にそれぞれ立っていました。
私がどこに行っていいか分からず右往左往していると一人の教官が一人の入校生の髪の毛を掴んで引っ張っています。
ちゃらちゃらした髪の毛で来て何考えてんねや
と教官が怒鳴り倒しており,『初日からこれか・・・』と少しビビりながら自分のクラスを探していました。嫌な予感をしながら・・・。
はい。案の定きました。予想的中。
先程,髪の毛を引っ張って怒鳴り倒していた教官が初対面のはずの私の方を見て
マツモトー!
と大声で呼びました。運のない私は怖くて厳しい教官(仮名:住吉警部補)が担任のクラスになってしまいました。
普通,どのような人間か分からない入校生の髪の毛を初対面で引っ張ります??その時は,雰囲気に飲まれて『そんな世界なんだな』と何故か納得しましたが今となればパワハラ中のパワハラですね。
って言っても普通の学校みたいに甘くしていては現場へ出たときに通用しないのである程度は厳しくしないといけませんが。
そうこうしているうちに教場(警察学校では教室のことを教場と言う)に案内され自分の席に座りました。既に20名程,着席していたので私の到着は真ん中ぐらいでした。全員で42名でしたので。先程,髪の毛を引っ張られていた同じくらいの年齢の男の子(仮名:藤田君)も既にいました。
ちなみに最初の2週間ぐらいは先輩学生が1人指導係として1クラスに1人付いてくれます。
教官ご到着
ほとんどの学生は学校卒業してほやほやの社会なんて知らない兄ちゃん姉ちゃんなので周りをキョロキョロしたり,隣の者とコソコソ喋ったりしていました。私は,そんなことしていたら怒られると何となく分かっていたので黙って静かに待っていましたけど。
しばらくすると,教官が2人教場に入ってきました。案の定,入ってきたら凄い勢いで入って直ぐの机を蹴り倒しながら
ここは小学校違うぞ!!何ぺちゃくちゃ喋ってんねや!
といろいろと長い時間,名前も知らない2人の教官が聞いた事もない大声で叫び続けていました。
両隣の教場からも怒鳴り声やドン・ボカン・ゴンという大きな音が度々聞こえてきます。
少し落ち着いたところで警察学校とはどういうところで,何をするところなのかを教官や指導学生から説明を受け(教官からはほとんど精神論,ルールなどは指導学生),その後,みんな揃って外に連れて行かれました。
外で何をしたかというと,スーツのまま整列させられて気をつけをさせられただけです。10時頃からだったと思いますが一切動いてはダメです。顔が痒くて掻いてもダメです。咳払いもダメです。背筋,指先はピンです。
背筋を伸ばして指先を伸ばして横で怒鳴りつけながら約2時間です。
はい,倒れそうでした。見送ってくれた母親の顔が何故か何度も頭をよぎりました。そんな経験もない私達にとっては本気の気をつけ2時間はヤバかったです。今でも鮮明に覚えています。卒業するころには普通にできるようになりますが。
早々に1人脱落
その後,昼食を取り(食事のルールは別の機会に書きます),再度,教場に集合しました。お決まりの自己紹介です。皆さん初対面なので当然です。
1人1人何故か怒られ怒鳴られながら自己紹介をし,私の番も過ぎ,名前も忘れてしまいましたが最後の1人です。
見た目はごく普通の男子です。山口県出身だったと思います。何故かそれは覚えています。その子の番がまわってきて起立した時です。極度のストレスからか急に過呼吸になり,そのままバタン。倒れました。意識が朦朧としています。
住吉教官がスタスタと歩いて倒れた意識朦朧のその子に近づき一言,
おい弱子!!起きんかい!!おのれの番じゃ。
もちろん過呼吸で倒れていますから起きれるはずがありません。早く処置をしなければ呼吸ができませんし。
住吉教官はもう1人の教官(仮名尾崎警部補)に
こいつもう使えませんわ。悪いけど図書室に連れて行ってくれまへんか。
と言い尾崎教官に抱えられ,運ばれていきました。
『保健室じゃなくて図書室??』後に図書室がどういう場所か判明します。

初日の授業終了。そして寮へ。
訳も分からないまま,憧れの制服ももらえないまま,時刻は午後5時45分になりました。住吉教官が話している途中だったのですが急に校内に君が代が流れ始めました。するとすかさず,指導学生が『気をつけ,右向け右』と教官の話を遮って号令をかけました。訳も分からず私もそれに従い,教官も当たり前のように右向け右を行いました。
君が代が流れたらその時は何があっても手を止めて国旗の方を向いて気をつけをしなければならないルールで授業が終了の合図です。
初日は終了です。最後に教官が
今日倒れた奴はもう辞めたから。とりあえず入校式までの1週間,後何人かは辞めてもらう予定やから。なぁ藤田!!
最初に髪の毛を引っ張られた男子の方を向いて言い放ち,皆んなで教官に大きな声で『ありがとうございました』とお礼を言い,訳も分からないまま初日の授業は終わりました。
それから指導学生に寮まで案内してもらい(警察学校敷地内)自分の家となる部屋に入りました。部屋は6人部屋でそれぞれカーテンで仕切られてる部屋です。
テレビもラジオもなく,もちろん携帯電話なんかは持ち込みも禁止でした。外部とは一切遮断です。
2人は先輩,4人はクラスメイトでした。
先輩のうち1人は私のクラスの指導学生(仮名山本先輩)と2ヶ月前の2月から入校している先輩学生(仮名長谷川室長)でした。
山本先輩は20歳で指導学生をやりながら学生の環境を指導する環境副総代というお偉い先輩で長谷川室長は30歳で社会人経験者,2人ともすごく優しく面倒見の良い先輩でした。
寮の部屋も運が悪ければ最悪な先輩に当たっていたのでここは運が良かったです。
その後はクラス全員で整列しながら食堂に向かい再度食事のルールを聞き,いきり立った先輩は,食事をしている横からいちゃもんをつけたりとゆっくり落ち着いて食べれない食事を食べ,また風呂に入るときも門番の先輩をくぐり抜けいろいろなルールを聞きながら風呂に入りました。
ちなみに門番の先輩はいちゃもんを付けるどうしようもない,ただ意気がってるだけの先輩で私達の部屋は山本先輩が一緒に行ってくれたので難なく通過しましたが力のない先輩や自分たちだけで行った同期は捕まって意味もなく怒鳴りつけれていました。
今考えると本当に無駄ですね。無駄な労力です。そんな先輩達は,今も口だけの仕事できないお巡りさんなんだろなと思いますが。
そんなこんなで怒涛の初日は終了です。寮の掃除して点呼があり,午後10時消灯でおやすみタイムです。
夜は飯食って風呂入って10時に寝れるっていいなと感じた方いらっしゃったと思いますが最初の1週間だけでした。またそのことは後に書いていきます。
次回予告
腕が上がらない歌唱指導と地獄の根性面接
入校2日目から3日目にかけて,入校式に歌う警察歌と君が代などを新入生全員で練習した時の模様と教官2人と根性試しの面接『根性面接』の様子を書きたいと思います。

この実録警察物語シリーズはノンフィクションです。一切盛って話していませんし,どちらかというと少し控えめに書いているつもりです。
今の警察学校は変わってるかもしれませんが警察官を目指している方に参考になればと思い私の体験談を記載しています。
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