小学低学年までの憧れの車『パトカー』。人は成長するにつれパトカーを避けるようになっていきます。10年前の今頃は,小学低学年までの憧れのパトカーに乗っていた松本誠です。
今回は,『パトカーのあれこれ』第2弾を記載したいと思います。前回は『パトカーの種類』について記載しましたが今回は『パトカーは警察官なら誰でも乗れるのか』を綴っていきます。
前回の記事はコチラ↓
- パトカーの種類
- パトカーは警察官なら誰でも乗れるのか
- パトカーは改造されているのか
- 何故パトカーはトヨタ・クラウンが多いのか
- サイレンのあれこれ
- 赤色灯のあれこれ
- パトカーに積載されている装備品
- パトカーの値段
- パトカーの秘密
上記ボックス内の2番です。パトカーでも見ていて危なっかしい運転をする警察官もいますが果たしてどうなのでしょうか?
新米警察官はパトカーに憧れる。まるで小学生のような気持ちに。
ここで言うパトカーは,ミニパトではなく 4ドアセダンのクラウンやレガシーなどのパトカーです。
パトカーは,小さい男子の憧れの車ですよね。実は新米警察官も警察学校を卒業して,まるで小学生のように格好良く見えます。
サイレンを鳴らし逸早く現場へ向かい,応援を読んだらサイレンを鳴らしすぐに飛んできてくれる。めちゃくちゃ格好良いと感じます。私もそうでした。(新米の時だけ)
パトカーは警察の隠語でPC(ピーシー)と言い,最初の頃は,その言葉も格好良く感じ,無駄に使いたがります。
まぁ警察という密閉された組織の中の新米警察官が陥る警察病の一つです。
交番で在所中,パトカーのない交番にもパトカーが立ち寄ります。その時は,直ぐにお茶を入れ,灰皿を準備し(その頃はまだタバコに関してそれ程厳しくなかった),パトカー乗務員を署長のように対応します。
めちゃくちゃブサイクなパトカー乗務員でもすごく格好良く見えます。雪山で見るスノーボーダーと普段見るスノーボーダーの違いのようなものです。
パトカーが交番に立ち寄ると,乗務員にパトカーの中を見せてもらって色々質問してみたり,車載系無線機で本部宛に定期発報させてもらったりします。車載系無線機は署だけでなく他の警察署の警察官も聞いているので少し緊張します。
仕事が終わり,早速同じ無線系にいる同期に連絡し,『車載無線での発報聞いてくれた?』などと聞いたりします。
実際,パトカーに乗ることは憧れだけでなく,乗ることにより,事件現場の先着,刑事への引致(被疑者を刑事に引き継ぐ)など交番の警察官より扱うことが圧倒的に多く,仕事の勉強,刑事や交通課へ名前を売るのに持ってこいのポジションです。
このような感じで新米警察官はパトカー乗務員に対して小学生のような気持ちで憧れていることが多いです。
パトカーは誰にでも運転できない。パトカーを運転する条件。

パトカーに乗る条件はあります。各都道府県警察それぞれ規程は違いますがそれぞれの都道県の道路交通規則というもので定められています。
パトカーといっても緊急走行する場合です。ただ単に普通に走行するだけだとただの四輪車ですので条件はありません。誰でも運転はできます。(都道府県によって違う。私のいた警察は警察車両を運転するだけで資格が必要)
たまにツナギを着た整備士のおじさんが運転している光景も見ます。その場合は大体は『回送中』と書かれた紙を外から見えるように貼付しています。そうでないと整備士のおじさんが事案の申告を受けてしまいますので。
余談は,さておき私が所属していた大○府警の緊急車両を運転する際の条件の話です。
絶対的な条件は,緊急車両を運転する場合の資格を取得することです。この資格はあくまで警察内の資格ですので誰でも受けれるわけではありません。
もう1点は資格でも何でもありません。警察という独特の狭い社会の体育会系のことをすることです。悪く言えば胡麻をスリスリするのです。
パトカー(警察車両)を運転する為の資格
私のいた警察では,警察車両を運転する為の資格が必要でした。今でもそうです。
その資格は『格付』というもので,ABCの三段階で評価されます。
- Aは,雨の日も風の日も夜もどんな状況でもパトカーを運転することができ,いつ何時でもサイレンを鳴らして緊急走行できます。
- Bは,パトカーの運転自体は雨でも夜でもすることが可能ですが雨や夜間はサイレンを鳴らして緊急走行することはできません。
- Cは,昼間の晴れた日しか運転してはいけません。サイレンを鳴らして走行する緊急走行はできません。
このようにABCによって警察車両を運転できる条件ていうのは違ってきます。
BやCを持っていても白黒のパトカー乗務員にはなれませんので格付Aが必要です。『雨の日だから』『夜間だから』という理由でパトカーが出動できないとか困りますので最低条件がAの取得です。
格付の試験は,学科と実技に分かれます。学科についてはABCそれぞれ同じで基準をクリアしないと格付はもらえません。
実技については,教習所の難しいバージョンです。道が狭かったり,駐車の難易度が高かったりしますが,内容的には 運転が普通にできる人なら誰でも合格できます。
って言っても最初の方は何回も落とされますし,横に乗ってる試験官(警察官)がめちゃくちゃ厳しいので内容はそんなに難しくなくても採点が厳しいので落ちる人が多かったり,1回目はCやBといった判定を受ける者も多いです。
落ちても年に数回試験がありますので何度でも受験ができますし,Cを取得していればCからの受験ですので何度か受ければ合格します。
ただし, 各警察署で何名受験できるか人数制限がありますので何回も落ちていたら,新しく入ってきた若手警察官の順番が回ってきませんので受験させてもらえなくなります。
余談ですが 白バイも資格は同じですが,白バイの場合は超難しい実技試験です。白バイの場合はパトカーと違い,訓練を受けてからでないと試験も受験できません。
私は,車とバイクがめちゃくちゃ好きでしたので四輪格付,二輪格付の両方でAを取得していました。今となればその資格証もただの紙切れですけど。
パトカー乗務員になる為には,パトカー乗務員に評価されなければならない。
パトカーに乗りたければ格付Aは必須ですが,その他にもパトカーに乗りたいことをアピールしなければなりません。
パトカー乗務員の欠員や転勤の時がチャンスですがそのいつ来るか分からないチャンスの為に日頃からアピールをします。
- 当務(24時間勤務)明けのパトカーが帰って来るのを待ち,帰ってきたらパトカー乗務員に代わり洗車をする。同時にパトカーの持って帰ってきた書類などを自ら積極的に受け取り,代わって引継ぎする。
- パトカー取扱い事案には積極的に応援に行き,アピールする。
- 飲み会では積極的に酒を注ぎ,気が利くことをアピールする。
- パトカー乗務員の一方が休みの場合,積極的に補勤をさせてもらいパトカー乗務員としてのノウハウを覚える。
などです。
もちろん仕事がチンプンカンプンではいくらアピールができたとしてもパトカー乗務員にはなれません。
他の警察官より,検挙面や書類面など頭一つ出ておかなければいけません。
結果,警察官全員がパトカーを運転できる訳ではない。

このようにパトカーは警察官なら誰でも運転できる訳ではありません。
- 格付という警察内の運転技能の資格
- パトカー乗務員へのアピール
が必要になります。
『パトカー乗務員へのアピール』なんかは,今となれば正直どうでもいい条件です。警察特有のしょうもない体育会系のノリです。
格付という資格は,当然必要であって,警察車両は一般の人と同じ運転をしていては,もちろんダメであって模範となる運転をしなければなりません。
そうでないパトカー乗務員もいますが。
それに,緊急走行時は,車と車の間をすり抜けるように走り,交差点を赤信号で横断すのなど,判断力もなければなりません。 3車線や4車線の交通量の多い交差点の横断はいくらサイレンを鳴らしているからと言っても危険で判断力が人一倍必要です。
他府県の警察官と交流した時に聞いたのですが地方によっては格付は必要なく運転免許証を持っていて,学科試験だけで取得できる警察もあるらしいです。パトカーなので実技も必要だと思いますが。
ちなみに若い人の車離れが増えてるというニュースを見ますがパトカーも同じで,最近,採用された警察官は車の運転が苦手,興味がないっていう若手警察官が増えてきて人材確保も大変みたいです。
今回の『パトカーのあれこれ』はここまでです。次回は『パトカーは改造されているのか』を綴って行きたいと思います。
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